
添付した表は、水溶性モノマーとそれを重合してポリマーの特性を簡単にまとめたものです。
各モノマーの名前、化学式、イオン性(アニオン、ノニオン、カチオン)、そして主な用途や特徴が記されています。特に代表的なモノマーについてもうちょっと各論をまとめました。
①アクリル酸
重合度を低分子量から超高分子量に変更することで、スケールコントロール剤、分散剤、増粘剤、凝集剤、高吸水樹脂などの用途のポリマーに転換することができます。アクリル酸から誘導されるアクリル酸エステルもアクリル樹脂のモノマーとなります。二重結合の水素はメチル基のものがメタクリル酸となります。
②2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸
スルホン酸基を有しているAMPSは、スルホン酸基により、耐塩性、耐熱性に優れた高分子の原料となります。増粘剤、分散剤、セメント混和剤やEORなどに利用されます。
③アクリルアミド (PAM)といわれているポリマーとなり、凝集剤、土壌改良剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤などに利用されます。アミド基(ーCONH2)がノ二オン性基であり、水素結合やVanderwaals力で,汚泥やパルプとの吸着性が高いです。
④N-イソプロピルアクリルアミド
感温性ポリマー(PNIPAM)の原料として、ドラッグデリバリーシステムやセンサーなど、スマート材料への応用への期待がされています。
⑤エチレンオキサイド
カチオン重合により,ポリエチレンオキシド(PEO)となります。製紙関係の粘剤や、界面活性剤の原料等に使用されます。
⑥酢酸ビニル
ポリ酢酸ビニルとして接着剤、塗料、繊維加工剤などに使用。加水分解によりポリビニルアルコール(PVA)になります。PVAも製紙用の添加剤、フィルム、廃水処理用の担持体等用途は広範囲です。
⑦2-ヒドロキシエチルメタクリレート
ソフトコンタクトレンズの素材として有名です。医療用材料やゲル材料。
⑧N-ビニルピロリドン Vinylpyrrolidone
医療・医薬品(結合剤、コーティング剤)、化粧品(増粘剤、毛髪固定剤)、工業用(膜分離材、顔料分散剤)など幅広い分野で利用される。
⑨アリルアミン
ポリアリルアミンとして凝集剤、凝結剤、吸着剤、架橋剤などに利用。
⑩アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド
カチオン。 アクリルアミドと共重合することで,凝集剤,歩留まり向上剤,紙用薬剤,帯電防止剤等に利用。
今回は主要水溶性モノマーとポリマーの特徴を簡単にまとめました。列挙したモノマーの数は少なかったかもしれませんが、他にも色々なモノマーが世の中にありますので,それらのモノマーの組み合わせや分子量を組み合わせることで水溶性ポリマーのポテンシャルは高いと考えています。